ハワイより愛をこめて | シネマ日記

人生はシネマのようなもの。ハワイはオアフ島在住の主婦が大好きな映画のことや日常について綴ります

アメリカの歴史に残る究極のラブストーリー「Loving:ラビング」

 

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題名:Loving(ラヴィング) 2016年

監督:ジェフ・ニコルズ

主演:ルース・ネッガ、ジョエル・エドガートン、ウィル・ディトン

評価:IMDb 7.2/10  Rotton Tomatoes 90% Google Users 90%

ストーリー: ミルドレッドは恋人のリチャードに妊娠を告げる。結婚して幸せに暮らす2人だったが、ある夜家に警察が来て2人とも逮捕されてしまう。当時2人が住むバージニア州では異人種同士の結婚が認められていなかった。ミルドレッドはアフリカ系アメリカ人、リチャードは白人だったからだ...

 

 感想: 

タイトルを見て恋愛ものかなと思った。ラブストリーには違いないが、“Loving"はこの映画の主人公の名字である。つまりLoving家のお話なのである。Loving=愛する、なんてこの夫婦にふさわしい名前なのだろう...

 

「Loving」は、1967年にアメリカ最高総裁で実際に起きた異人種結婚の裁判、「Loving vs. Virginia (ラヴィング対バージニア)」という実話をもとにしたストーリーである。この夫婦の話は以前何かで読んだことがあったので事実をどんな風にまとめてあるのかすごく興味があった。公民権や裁判と重いテーマだけにどんなに重厚な社会派ドラマかと思って観たら期待はみごと裏切られた。

 

キャスティングはこれ以上の配役はありえないというくらい充実。夫リチャードに扮するのは、オーストラリア出身の俳優ジョエル・エドガートン(ザ・ギフト、ウォーリア主演)。寡黙な役柄なので台詞はほとんどなく、激しく揺れるリチャードの感情を身体で表現しきった。私の独断と偏見にみちた予想では、これで今年のアカデミー賞主演男優賞候補は確実とみた(笑)。妻ミルドレッドに扮するのはエチオピア系アイルランド女優のルース・ネッガ。凛とした美しさが魅力のネッガが、控えめだが芯の強いミルドレッドに扮する。娘から母となり強い女性へと変化していく様をみごとに演じる。

 

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time.comより参照

 

「Loving vs. Virginia 」をネットで画像検索すると当時メディアが撮影した写真が出てくる。それらがスクリーン上で美しく再現される。上の写真はLIFEマガジンの写真家がLoving家を訪問し撮影した一枚。リビングのソファーで夫が妻の膝枕でテレビを観ながら微笑んでいる。訴訟の渦中にいた夫婦の不安はみじんも感じられない、むしろ平穏さが伝わってくる写真。立ちはだかる壁を前に今出来る事をやりながら細々とつれそう夫婦の絆、この映画の夫婦から学べることは大きい。

 

Lovingは、夫婦愛や家族愛を描いた究極のラブストーリーである。アメリカ合衆国が通って来た奴隷制度や差別問題に言及する歴史ドラマでもある。観終わった後、温かな優しい余韻に包んでくれる映画だと思う。

 

同性婚も認められたアメリカで異人種同士の結婚は当然のように考えていたが、これもLovingさんのようなカップルが迫害にあいながらも愛を貫く勇気があってからこそ。私も国際結婚をしているひとりとしてこの2人に敬意を払わずにはいられない。

 

監督ジェフ・ニコルズの作品はこれが初めてだがもっと観てみたいと思う。ちなみに、「Loving VS. Virginia」の訴訟が米最高裁で勝利した1967年6月12日は、Loving Dayと呼ばれ記念日となっているそうである。

 

#ハワイ #映画 #洋画 #ラビング #Loving